「海の違いはわかるけど・・・わかめの養殖に森がどう関係するんだろう?」。このように感じた人は少なくないと思います。ところが実際、森は空から落ちてきた雨水を、落ち葉の下、地中深くにある巨大な懐に一度蓄え、動植物とバクテリアがつくりだす養分とともに、長い時間をかけてゆっくり、ゆっくりと雨水を海へ還元します。
つまり、森の豊かさが水の豊かさにつながり、水の豊かさが海の豊かさにつながっているというわけです。こういったところにも、真崎わかめの美味しさの秘密が隠されているのです。事実、田老町では雪の多い冬場を過ごせば、翌シーズンのわかめの育ちが例年よりも良いとされています。これは雪解け水が、いずれ森の栄養分を伴い、海に流れ込むからなのです。
その昔、田老町でも大規模な広葉樹乱伐がおこなわれていました。このため、森を失った山は十分な保水力を失い、雨水は本来運ぶべき森の栄養分を吸収しないまま海に流れ込むようになりました。これにより磯焼け現象や海底の砂漠化という海の病いとも言える状態に陥り、田老町の水揚げにも影響が出ました。
その最大の原因が山林、とりわけ広葉樹の衰退にあるという結果にたどりついた時、私たち婦人部では海の環境保全と資源活性化運動の一環として、森への植樹運動を行うこと決めたのです。結局、海も大気と同様、植物の営みに頼る部分が大きいということです。
私たちの婦人部に在籍する人間のほとんどは、海に出て漁を営むわけではありません。ただ、田老町で暮らす私たちにとって海は命です。その海を守るためにやるべきことは、植林を通じてかつての森を取り戻し、今以上に豊かな海を取り戻すことだと考えたわけです。そして、これは田老町の主要海産物である真崎わかめの品質を守り続けることにもつながっているのです。
いずれ、真崎わかめは、わかめの最高級品として、世の中に認められることになるでしょう。少なくとも私たちはそう信じていますし、植樹を含めた婦人部の運動が、少しでも役に立つことを願うばかりです。
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