わかめのタネとは、わかめの根元部分にあるめかぶから採れる胞子のことです。この胞子がやがて雄雌の配偶体となります。その後、配偶体の中で受精がおこなわれ、胞子体つまりわかめの幼芽となります。これを沖合いの養殖台に移し、立派な真崎わかめに育て上げることが私たち漁師の仕事です。
私は毎年夏になると、ある岩場まで船で出掛け、翌シーズンの養殖に備えて天然めかぶからタネを採苗しています。海が時化の時は近づけないような場所ですが、ここには最高品質の天然わかめが生えていて、このタネをそのまま養殖に使わせてもらっているというわけです。ただし、この場所を見つけるまでに10年の歳月がかかりました。
いくら育成環境が良く、いくら手塩にかけて育てても、タネが優秀でなければ、最高のわかめをつくりだすことはできません。だから、私はいろいろな場所からタネを持ち帰り、毎年毎年テストを繰り返しました。どの辺りに生えている、どういった天然わかめから採取できるタネが、一番美味しいわかめに成長するのかを研究してきたわけです。それこそ育成する速度、色・形、風味、歯ざわりなど、あらゆる条件で甲乙をつけていった結果、現在のタネと出逢うことができたのです。
もちろん、地元のタネしか使いません。地元のタネが一番だからです。その証拠に私のつくった真崎わかめは、昨年、岩手県の共販でナンバーワンの値が付けられました。我が家では漁協に原藻を卸しているほか、わかめの自家加工もおこなっているため入札会に参加したわけですが、そこで最高の評価をいただいたわけです。自分の信念に従ってわかめづくりに精を出してきた結果ですから、本当に満足しています。
私を含めた田老町の漁師は皆、真崎わかめを日本一だと思っています。自分たちがつくるわかめに誇りを持っています。だからこそ、日々どうすれば真崎わかめが美味しくなるのかを研究していますし、身体を張ってわかめを育てているわけです。正直いって私自身は、真崎わかめ以外はわかめじゃないと思っています。一度、食べてもらえれば、私のいう言葉の意味がきっとわかってもらえるはずです。
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